理念/コミットメント Principle / Commitment
ダイバーシティ・サステナビリティ推進室設立にあたって
上智学院は、2024年7月 に「ダイバーシティ推進室」と「サステナビリティ推進本部」を統合し、新たに「ダイバーシティ・サステナビリティ推進室」を設立しました。これにより、これまで両組織で行なってきた取り組みに共通する課題を整理するとともに、運営体制を強化し、全学的なエンゲージメントを促進していきます。
上智学院のダイバーシティ関連の活動は、2009年の「グローバル社会に対応する女性研究者支援」プロジェクトから始まり、2011年には「男女共同参画推進宣言」を制定した後、当初は男女共同参画推進室が中心となり展開していました。その後、多様性の概念の広がりに合わせ、ダイバーシティ推進室として改組し、支援対象者の拡大と制度充実を進めてきました。
一方、サステナビリティ推進本部は、エネルギー効率の向上やキャンパス環境の整備などを推進するため、部局横断型プロジェクトとして2021年にスタートしました。独自の試みとして、学生職員を雇用し、イベント企画、施設整備、広報活動などに関わってもらうことで、学生、教員、職員の協働を実現しています。
2023年に定めた学院の中長期計画「グランド・レイアウト3.0」では、教皇回勅「ラウダート・シ」やイエズス会のUAPs(4つの方向づけ)、さらには国連のSDGsなどを踏まえ、学院全体のダイバーシティ及びサステナビリティの促進を重要事項として進めていくことが謳われています。
新組織では、この方針に基づき、これまでの働きを継承・強化するだけでなく、新たな形を模索しながら、教育、研究、社会貢献を通して、MAGIS(よりよい)世界の創生に寄与することを目指します。
今後も、上智大学および短期大学部、中等教育部門において、学生・生徒、教職員が一体となって活動を進めてまいります。引き続き、皆さまのご支援を賜りますようお願い申し上げます。
上智学院サステナビリティ推進宣言
上智学院では、「キリスト教ヒューマニズム」に基づく人間教育を行っており、学生・生徒・教職員それぞれが人格の尊厳と基本的人権を認め合い、責任ある行動と謙虚な心構えをもって、世界の発展に奉仕する者となることを目指してきました。決して傍観的立場をとることなく、対話を通して地球的規模の課題解決に努める人を育てることに、各校は力を尽くしています。
2019年、上智大学を訪問した教皇フランシスコは、2015年に自ら発信した回勅『Laudato Si’(ラウダート・シ)』に触れ、「この学院は単に知的教育の場であるだけでなく、よりよい社会と希望にあふれた未来を形成していくための場となるべきです。そして、自然への愛を持ち、私たちの共通の家である地球の保護に向けられる、知的かつ先見的な懸念を表現すべきでしょう。」とメッセージを残されました。本学院は、『For Others, With Others(他者のために他者とともに)』の教育精神、ならびに『Laudato Si’(ラウダート・シ)』の7つのゴールにコミットし、教育・研究活動を通した社会課題の解決と価値創造、環境保護・保全に貢献していきます。
*UAPs(Universal Apostolic Preferences of the Society of Jesus)について
上智学院の設立母体であるイエズス会が1975年の第32総会議において信仰への奉仕として「正義の促進」をミッションに掲げ、2008年の第35総会議においてグローバリゼーションの影の側面として表面化してきた環境破壊や難民・移民の問題に目を向けました。その結果、「和解」のミッションの重要性と緊急性を訴え、「神との和解」、「人類同士の和解」、「被造界との和解」を前面に打ち出しました。
そして、2019年にこれから優先的に取り組むべき方向性をUAPs(Universal Apostolic Preferences of the Society of Jesus)「イエズス会使徒職全体の方向づけ」として定めました。
- 「霊操」および「識別」を通して神への道を示すこと
複雑に絡まり合い、全体を見通すことも困難なこの時代の中で、私たちが「正義を促進する信仰」にふさわしい行動を識別することができ、主イエス・キリストを見いだし、主に従うことができますように。 - 和解と正義のミッションにおいて、排除された人々とともに歩む
誰よりも先に私たち自身が回心し、苦しむ人々の中に苦しむキリストを見いだし、苦しむ人々に学び、キリストの霊に促されて生きることができますように。 - 希望に満ちた未来を創造していくために若い人々と共に歩むこと
若い人々がキリストを知り、愛されゆるされていることを感じ、希望に満ちた未来を創造できるよう、私たちが、若い人々とのふさわしい関わり方を見いだし、若い人々へのふさわしい支えとなることができますように。 - 「ともに暮らす家」である地球への配慮を協働して行うこと
すべてを善いものとして創造された父である神の呼びかけに応え、私たち一人ひとりが、そして私たちが関わる学校や研究機関そして教会共同体が、被造物すべてのための働きに、寛大に、創造力豊かに、携わることができますように。
これらは上智学院のサステナビリティ推進に一致しており、SDGsとも合致しています。
国連と上智大学SDGs
上智大学国連Weeks
国連アカデミックインパクトの参加大学である本学では、2014年より毎年6月上旬と国連デー(10月24日)前後の10月下旬に「上智大学国連Weeks」を開催しています。
「国連の活動を通じて、世界と私たちの未来について一緒に考える」をコンセプトに、国際シンポジウムや講演会、写真展、映画上映などさまざまな企画を開催しています。
これらの企画は本学学生だけではなく、広く一般の方にも公開しており、毎回大勢の社会人や高校生にもご参加を頂いております。2016年度以降の国連Weeksでは、SDGsに関連した講演会やシンポジウムなどの企画に力を入れています。
国連グローバル・コンパクトの活動
国連グローバル・コンパクト(United Nations Global Compact、以下UNGC)は、1999年に当時の国連事務総長コフィー・アナン氏が提唱し、2000年7月26日にニューヨークの国連本部で正式に発足したイニシアチブです。企業を中心とした様々な団体が、責任ある創造的なリーダーシップを発揮することによって社会の良き一員として行動し、持続可能な成長を実現するための世界的な枠組みです。
現在、世界161カ国で約1万3800を超える企業や団体がUNGC署名し、「人権」・「労働」・「環境」・「腐敗防止」の4分野・10原則を軸に活動を展開するとともにSDGs達成のために様々な施策を実行しています。
本学は、2015年5月にUNGCに署名するとともに、日本国内のローカルネットワークである「グローバル・コンパクト・ネットワーク・ジャパン」(以下GCNJ)に加盟し、活動しています。中でもGCNJと共催し、加盟企業や国連機関と連携した数々のシンポジウムを国連Weeksの中で継続して実施しています。
人権 | 原則1: 人権擁護の支持と尊重 原則2: 人権侵害への非加担 |
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労働 | 原則3: 結社の自由と団体交渉権の承認 原則4: 強制労働の排除 原則5: 児童労働の実効的な廃止 原則6: 雇用と職業の差別撤廃 |
環境 | 原則7: 環境問題の予防的アプローチ 原則8: 環境に対する責任のイニシアティブ 原則9: 環境にやさしい技術の開発と普及 |
腐敗防止 | 強要や贈収賄を含むあらゆる形態の腐敗防止の取組み |
国連グローバル・コンパクト | https://www.unglobalcompact.org/ |
国連グローバル・コンパクトへの報告書 | https://unglobalcompact.org/participation/report/cop/detail/480857 |
グローバル・コンパクト・ネットワーク・ジャパン | http://www.ungcjn.org/ |
国連‐責任投資原則(PRI)の署名
学校法人上智学院では、2015年11月に国連が支援する責任投資原則(PRI)に署名しました。PRIは、持続可能な社会の実現を目的とし、機関投資家等が、環境(Environmental)、社会(Social)、コーポレートガバナンス(Governance)の課題を投資の意思決定に組込むことを提唱する原則です。PRIへ署名することは、上智大学の建学の理念と整合的な投資方針を取り入れ、加盟している国連グローバルコンパクトの原則を資産運用面で実践するものです。
教育研究機関を運営する学校法人として、責任あるアセット・オーナーとして、今後ともESG投資を通じて、グローバル社会の直面する様々な課題解決に貢献してまいります。
学校法人上智学院 上智学院の責任投資の取組み
https://www.sophia-sc.jp/info/esg.html